それは10月9日、夕暮れ迫る公園だった。
彼はいわれの無い理由で、押し付けられていた。
鬼。
彼は鬼ごっこの鬼をやらされていた。
敵はおよそ7人といったところか。
上は中学生から下は就学前児童もいるようだった。
彼は革製の靴を装着していたため、
ターゲットは低速に絞らざるを得なかった。
背に腹は変えられない。
いわれの無い理由、それはジムチャレの優勝だった。
しかし彼が得たプロモパックに、サポトレは無かった。
彼はおもむろに上着を脱ぎ、ブランコの上に置いた。
そう、少しでも軽量化を図り、加速度を上げるつもりだ。
彼が振り返ると
いかにもつかまえてみろ、と言わんばかりに
接近してくる者がいた。
スタート
合図と共に彼は駆け出した。
一気に最高速まで達する勢いだった。
そして彼がトップスピードを迎える頃には
ターゲットを目前に捕らえていた。
そして捕獲しようとする正にその刹那、
ターゲットは急に方向転換を図った。
最後の加速度がかかっていた彼の靴にとって、
急速方向転換は負荷が大きすぎた。
そして
転倒
なんと前のめりになりながら、見事に転倒してしまったのだ。
両手を前に突き出しながら、絵に描いたように。
下が芝生なのは幸いだった。
彼は思いのほか、汚れずに済んだ。
彼が泥まみれになったら、帰りの車に乗ることは叶わなかったであろう。
その後も
身長を利用して滑り台の上にいるターゲットを追い詰めた他は、
全くといってイイほど子供たちを確保できなかった。
果たして今日の本当の勝者は誰だったのだろうか・・・
コメント
楽しく読ませて頂きました(笑)
最高っす!
目の前で見ていた気分になれました。
次は48歳も参加します(笑
>バロンさん
読んで頂いてありがとうございます。
携帯の動画スイッチのポテンシャルが高ければ
決定的瞬間をU-tubeできたのに残念!
>雑炊
全て事実なのはナイショにしときます
>R&Sさん
あの転倒は本当に開始直後だったので
自分もうっかり見逃すところでした。
コメントありがとうございました。